10月定例能
10月定例能
日時
10月3日(日) 午後1時開演(正午開場)
会場
石川県立能楽堂(金沢市石引4丁目18-3)
入場券
前売り一般 2,500円/当日 3,000円
若者割※(30歳未満・当日のみ) 1,000円 ※受付にて年齢を確認できるものをご提示ください。
中学生以下 無料
石川県立能楽堂、石川県立音楽堂チケットボックス、金沢能楽会事務所で前売り券を販売しております。
○お問い合わせフォームからチケットをご予約いただけます。
【お問い合わせ内容】欄にて「前売り券申し込み」をご選択いただき、【お問い合わせ内容詳細】欄に「公演名(〇月定例能など)」「必要枚数」をご記入のうえ、その他必要事項をご入力してお申し込みください。当日、会場受付にてお名前をお伝えいただき、前売り券の枚数分の代金と引き換えにチケットをお受け取りください。
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- 番組表
- 解説
【能】枕慈童(まくらじどう)
魏(ぎ)の文帝の宣旨により、酈県山(てつけんざん)の麓に湧き出る薬の水上を訪ねた臣下(ワキ・ワキツレ)が山中の庵に化生(けしょう)の美童(シテ)を発見します。童子は周の穆王(ぼくおう)に仕えた慈童のなれの果てを名乗り、その証拠に穆王から賜った枕と、それに書き付けられた法華経の二句の偈(げ)の親筆を見せます。その偈を菊の葉に書き露の滴(しただ)りを飲んで長命を得たのですが、数えてみればすでに七百年を経過しています。慈童は経文の功徳と帝恩の忝なさを思い、面白く舞い遊びます。麓に湧き出た薬の水とはこの菊水のことでした。慈童は臣下と菊水を酌み交わし、酔いに引かれて近づいた枕を戴いて菊花の筵(むしろ)に臥せります。やがて起き上がった慈童は帝の永遠の繁栄を祈り、七百歳の長寿を授け置こう、菊水は無尽蔵だと述べて、菊をかき分けて山路の仙家(せんか)に帰ります。慈童がこの山に住むのは、誤って穆王の枕を跨(また)ぎ、配流されたためです。その前場を省くようになり、結果的に祝言性が強まりました。
【狂言】雁大名(がんだいみょう)
めでたく訴訟がかない、近日国へ帰る大名が、在京中世話になった人々に振る舞い事をしようと、太郎冠者に肴(さかな)を買いにやらせます。冠者は肴屋町の店先に見事な初雁(はつかり)を見つけ、値引きの交渉も首尾よく済ませましたが、肝心の代金を持たないのに気づきます。長の在京で大名家の経済は逼迫(ひっぱく)し、振る舞い事をする余裕など実は全くなかったのです。困った二人は肴屋から初雁を盗む算段をし、実行しますが、その際のお国言葉が聞きどころです。
【能】阿漕(あこぎ)
禁断の海での密漁が露見して水底に沈められた漁夫の物語です。伊勢の国にあるその海を、漁夫の名をとって阿漕が浦といいます。初秋の一日、日向の国を出た僧(ワキ・ワキツレ)が神宮参詣の途中に通りかかると、釣り竿をかたげた漁翁(前シテ)が現れ、殺生を生業とする悲しみを述べます。僧も漁翁も共に和歌に明るく、歌学の知識を確かめたあと、求めに応じて漁翁が地名のいわれを語ります。この浦が禁漁となったのは、伊勢の神饌(しんせん)に供するためです。その掟を破った阿漕は刑死し、地獄でも殺生の罪を責められます。そう告白する漁翁は僧に回向(えこう)を頼み、悲痛な叫び声を残して漁(いさ)り火のように消え失せます(中入)。読経する僧の前に再び現れた阿漕(後シテ)は網を持ち、漁(すなど)るわざの虜(とりこ)となって罪を重ねる様子です。そのうちに波は猛火(みようか)、獲物(えもの)は悪魚毒蛇と変じて、息つく隙(ひま)ない地獄の罰が展開します。救済はならず、波にのまれる亡者の声が丑(うし)
三つの闇に響きます。
(西村 聡)